部下に対する指導はなぜ教えてはダメなのですか?

質問の内容と背景

この質問はマネジメント技法のセミナーで出された質問です。
講義の中でマネジメントの効果をあげるにはすぐに教えずに
「あなたはどう考えるか?」と本人に質問して考えさせることが大事だ
と申し上げて「すぐに答えを教えてはいけません」と申し上げました。

それに対してその方は通常すぐに「こうしなさい」と答えを出して指導されていたので
自分のやり方がなぜまずいのかと疑問を持たれた出された質問です。

自分が正しいと思っていたことを否定されたので、驚いて質問されました。

この問題をどのように考えたらよいか?

この問題は指導された部下の気持ちの観点と脳科学的な観点の2つで考えます。
マネジャーは部下の行動を心地よく変えさせることで結果を出せるように導くのが仕事です。
そのために部下の心の在り方を「やりたい」と思わせる導き方と脳が働き記憶できる方法が
必要になります。

第一に心の問題です。誰でも自分の考え方や信念をもっていますし、できればそれは変えたくない
と思っています。ですから誤りを指摘して直してい頂くためには自ら納得して頂く必要があります。
そのためには人から指摘されたのではなかなか受け入れてはくれませんが、自ら考えて
「こうしたらよさそうだ」と自ら発見出来たら喜んで考え方や行動を変えて頂けます。
そのために適切な質問をしながら自ら気づいていただくように導くことが正しいのでうs。

次に脳科学的な観点です。脳は好きなことや問題意識を持っていることに対しては有効に働きます。
ですから上司から指導されたことに対してはそもそもそのことに対する問題意識が働いていませんので
働きませんが、質問されて考えているとその問いに真剣に応えようとするために頭が働くのです。

どうすることになったか?

この事案に関してまず問題点を指摘した後「あなたはどうすればよいと思いますか?」
と質問をしながら回答に対して質疑応答をしながらその人の考え方や能力で出来そうな着地点
を見つけてやっていただき、途中経過を報告していただきながら伴走して成功に導こう
となりました。

注意すべきことは?

部下と接する際に注意すべきは信頼して頂くこととりラックスしていただける
人間関係を結ぶことです。そうでなければ成果は期待できません。
したがってアドラーが言っている「仲間だと思って頂けること、自分を有能だと
思って頂けること」を心して獲得できるように関係性を作ることが大事です。
そのうえでともに課題に向かって伴走して成功に導くことが大事です。