必要な提出書類がなかなか出てきません。どうすれば期限通りに出るようになるのでしょうか?

質問の内容と背景

ある会社の会議で「社員がだらしない。必要な書類を期限通りに出さないので、
管理がずさんになって困る」という話がありました。
そこで必要な情報は確実に期限通りに集めなければいけない。となりました。
そこで出た質問です。そうでなくともなかなか「やるべきことをちゃんとやる」
事が出来ない社員にちゃんとやっていただけるかが話題になりました。

論点整理

ここでは管理職と社員との関係をどうとるかが問題になります。
論ずべき論点は以下の3つです。

1、上司と部下の関係とは?(アクセプタンス理論について)
2、提出書類の在り方とは?
3、どうすれば期限に間に合うか?

以下順を追って説明します。

1、上司と部下の関係とは?:一般には上司に責任と権限が与えられていると思われがちですが、
実は違います。上司の責任と権限は指示を受ける部下側がやりたいと思って受けない限り全うされないのです。
つまり実際は部下側に握られているのです。

これはサイモンのアクセプタンス理論です。サイモンは部下がやりたいように仕向けなければ
上司は自らの責任を全うできないとしてノーベル賞を取りました。

部下がやりたくなる仕組みかどうかが問題です。
・意義ありと思って頂けているか?
・面倒ではないか?
・やりたいと思って頂けるか?
上司は部下の立場に立ち、やりたくなるように仕向けているか?
部下は上司の立場に立ち、協力して責任を果たさせてあげたいと思えるか?
等協力してお互いに歩み寄れるかどうかが大事なのです。

2、提出書類の在り方とは?:提出書類はその情報が活用されなければいけませんし、
書かされる方が、面倒だと思わない程度の負荷であるか、負荷があっても重要なので、
負荷をかけたことが会社に十分貢献していると思えるものでなければいけません。
また提出すればそれをもとに上司が指導してくれたりして「書いたら得する」と
思って頂けるかどうかが大事です。

3、どうすれば期限に間に合うか?:歩み寄りがなされたとして、以下の3つが大事になります。
・書類を書くために必要な情報は全て事前にちゃんと集まるか?
・習慣をつけるべく誰も約束を破る人がいない社風にする。
・間に合うためにしかるべきチェックポイントで管理をする。

仕事の流れ、プロセスを調べて無理なく出来るようにすればなんとかなります。

展開内容

この会社では提出書類が多くてかつ同じ情報を何か所にも書くようになっていました。
またせっかく提出してもそれがどのように使われているかが分かりませんでしたので、
書類関係を全て見直す事にしました。
そこで問題です。
残すべき情報や削るべき情報はどのような判断基準で考えたら良いのでしょうか?
以下から選んでください。

A:上司が会議で説明するための情報はいらない。
会社のノウハウになる情報は上司がまとめるために必要。

B:部下が自分の責任権限を果たしたことが分かる情報は必要。











答え











答えはAです。
Bは一見正しそうに見えますが、報告すればいいのであって不要です。
責任権限を果たしたというプラス情報はそこから何も改善改良が得られませんので、
わざわざ書く必要はありません。
またAで示されている上司が会議で説明すべき情報は本来上司が自分で作るべきものです。
そうでなければうまく説明が出来ませんし、部下に作らせては時間の無駄です。
会社に残すべき情報はノウハウや改善につながる情報です。
緩急をつけて必要な情報だけを上手く伝えましょう。

今日から出来る実践

提出させている書類の点検

提出させている書類を全て見直してみましょう。
見るべき視点は以下です。
・何のためにどう使っているか?
・書くためにかけた時間・コストに見合った活用価値があるか?
・書く人は意義と利用方法を分かっており、喜んで書いているか?
・書かないことで被る損失を分かっているか?

使われていなかったり費用対効果が低い書類は全て無くしましょう。

書類変更プロジェクトの発足

社員の負担を軽くしてかつ事務効率を上げるために、
書類の再設計プロジェクトを設計しましょう。
メンバーは若手のエースを起用して「みんなの役に立つ」
という意識で上司と部下の橋渡しをしながら利用価値が高い情報収集活用ができる帳票類
を再設計させましょう。