正しいことはすぐやってもよいか?

質問の内容と背景

新しく課長に昇進した社員が、やる気にあふれて課長業をしっかりと行おうとして
識学を勉強してその流儀でマネジメントをしようとしており「困っている」
と相談されました。その会社では従来は温情主義で経営しており、識学でいうところの
「ルール通り」で運用しようとすると、今まで温情で長年働いてきてくださった社員には
多少やるべきことが出来ていなくとも周りが大目に見て赦してきていた点が散見されます。
それらをすべてバサバサと切り捨てるとすると組織が荒れてしまい大量辞任やリストラの嵐
になりやしないかとの質問です。

せっかく新課長がやる気を見せて学び「何が正しいか」に目覚めてくれたのは嬉しいのですが
それでせっかく会社に忠義を示して働いてくださっていた社員を切り捨てられてはたまったものでは
ありません。新課長の言っていることがある意味正しいために困ってしまい相談されました。

この問題をどのように考えたらよいか?

各会社には歴史がありそれぞれ社長や社員の考え方や能力に違いがあります。
したがってある仕組みを導入するにしても各会社にあったやり方や方法があります。
そしてそれは使う人たちが受け入れてくれてしかも「使いたい」と思ってくれなければいけません。
ノーベル賞をとったサイモンという学者が提唱したアクセプタンス理論を考慮する必要があります。
それは「一見上司に権限があるように見えますが、受け入れ側にあるのです。なぜなら受け入れられて
初めて効果が出るし責任を発揮できるからです。」

つまりいくら社長がやりたいと思ってもその制度を社員が理解して「これはよい」と思いさらに「やりたい」
と思って頂けて初めて活用されるのです。ですから社員に相談しながら「喜んでやっていただける着地点」
を見つける努力が必要です。

どうすればよいか?

新任の課長さんと話し合いながら着地点を探せば良いでしょう。
まず彼が学んで感動した識学の何をどのように取り入れようとしており
それでどのような問題や障害があると考えているかを聞いて彼の認識が
あっているかを判断しながら、問題の所在や起こりうる問題を想定して
コンセンサスを得ることが必要です。そして実行に移したときには報告を受けながら
問題が起きないようにアドバイスをしながら伴走すれば良いでしょう。

注意すべきことは?

新任課長が意欲をもって学び識学を認知して頂いたことにまず感謝しましょう。
そしてなんでもそうですが新しいことをやれば必ず何らかの障害や問題が生じます。
ましてや正しいことを推進しようとすると今までの歪みが矯正されますが、いい事ばかりではなく
対立やトラブルも起こる可能性がありますので、今までの流れに反することに対しては
良い着地点を模索しながら余裕をもってゆっくりと着地させることを考えましょう。