後継者で会社の業績を伸ばした方は皆親と対立されてますが、なぜですか?

質問の内容と背景

この質問は社長業の講義で後継者向けのセッションで出された質問です。

親からうまく承継するには親から信頼されることでスムーズに承継してくれるので、
対立はいけません。と申し上げた所、「わが業界では後継者で会社を伸ばされた会社は
父親と大きな対立を乗り越えた方が多く、親と喧嘩できない後継者はダメだ」と言っている方が
多いのですが、その事実をどのように考えたらよいかとの質問でした。

親子喧嘩が絶えない会社はつぶれるケースが多く、対立はタブーだとされていることと
ここでの質問は真逆ですので何が本当でこの事実をどのように捉えたらよいかとの質問です。

この問題をどのように考えたらよいか?

一般に年をとると創造力が無くなりますので、年をとった経営者は老害を示しています。
それに対して息子が突っかかるケースが多いのです。しかし人間は感情の動物ですので
自分を悪く言う息子に快く会社を承継したいと思う人はいるでしょうか?
ですから対立したい気持ちはわかりますが心地よく譲っていただく必要があるのです。

また一般論ですが、対立する会社は多くがつぶれますので、会社が一枚岩になるには
良い人間関係を形成する必要があります。

どうすればスムーズに事業承継が出来るか?

これは稲盛さんが言われていた方法ですが、いくら年老いて時代遅れになっている
としても黒字で立派な成績を出しているなら、後継者とそれを支える後継チームで
社長が経験してきた経験や歴史を教えてもらい、「会社を引き継ぐにあたり何を気を付けたらよいか」
を学べばよいのです。そうしたら素直になり「俺の時代は終わった」と無意識に感じている実感を呼び覚まして
心地よく後継者に譲ってくれるのです。

ただし赤字で会社が危ない場合や社員から「早く承継してください」と頼まれている場合は別です。
その場合は早く承継して時代遅れから脱却する必要があります。

注意すべきことは?

番頭さんはじめ現在の幹部社員は現社長に仕えて来られた人達ですので
その人たちの力を借りて経営するわけですから、彼らの気持ちを考えて
彼らを肯定してあげることでベクトルを合わせることが出来ます。
自分の色を出す時期は社員の信頼を勝ち取ったときです。それまでは
会社が黒字の場合は先代の方針を引き継ぎながら信頼獲得に全力を尽くしましょう。