エニアグラムを勉強したら、部下の欠点がよく見えるようになったんですが、まずくないですか?

質問の内容と背景


顧客の経営者と話しているときの会話の一節です。
私は人間理解のためにエニアグラムの理解をお願いしています。
その経営者はいたく感動して真剣に学ばれました。
そうしたら今まで見えなかった部下の欠点が手にとるようにわかってきたそうです。
するとなかなかいい関係が持てなくなるので直感的に「まずいのではないか?」
と感じられて質問をされたわけです。
今回は人の見方について学びます。

論点整理

その経営者はいままで人間についてあまり違いを見る手法を知りませんでしたので、
評価ができませんでした。しかしエニアグラムを学び、部下の性格が手に取るように
わかってくると欠点がやたら目につき怒りが込み上げてくるようになりました。
経営では人を知ることは重要ですが、どのような見方がいいんでしょうか?
今回は以下の3点について考えてみたいと思います。

1、人を知ることは(人間知)は経営になぜ必要か?
2、欠点が見える現象はなぜ起こるか(良い点が見えない)
3、欠点が見えることの問題点とは?

以下順を追ってご説明します。

1、人を知ることは(人間知)経営になぜ必要か?:経営は人で行います。
人がヤル気になって能力を発揮していただかなければいけませんし、
協力と貢献をすることで分業体である組織を有効に運用しなければいけません。
そして対立が起きずにベクトルを合わせる必要があります。
そのためには人を扱う管理者にとって人間知は必須の項目になるわけです。

2、欠点が見える現象はなぜ起こるか?:人の脳は自分に都合がよいように見えるようになっています。
ですから人の欠点がよく見えるということは、自分の心は劣等感に支配されているのです。
劣等感は誰も長く我慢できませんので、人の欠点を見て自分を相対的に高めたいのです。
その背景には人間は誰でも自己尊厳を持ちたくて、一番でありたいと思っていますので、
自分を高めるために欠点が見えるのです。
逆に自信があり人を受け入れられる人は相手の長所がよく見えます。
故船井幸雄さんは「一流の人は相手の長所しか見えない。できれば長所と短所が半分づつ
見えるようでありたいけれど、短所がよく見える人は問題です」と言っておられました。
人の欠点が説き見えるということは、無意識の劣等感がなせる業だと思いましょう。

3、欠点が見えることの問題点とは?:欠点が見えてよい点が見えないとすると、
どうしても人間関係がぎすぎすして相手の力を引き出せません。
経営者が相手を低く見ると相手は低く見る人に反発してきますので、うまく人を使えません。
ですから人間知を学び、自分の見え方のからくりを知り、劣等感の克服をする必要があります。
相手の良いところが見えるように、「美点凝視」をしましょう。

展開内容

その経営者はストイックに自己能力を高める努力をされる方でした。
劣等感を克服するために、自分を追い込んで自分を高める努力をされています。
今は商品開発をするために自分一人でストイックに最高峰のレベルを求めておられます。
そうすると社員との距離がどんどん開いていってしまいます。
それでは経営になりませんので、自分の努力の方向性を変える必要があります。
そこで問題です。どの方向へ努力の矛先を向けたらいいのでしょうか?

A:社員を担当わけしてそれぞれに課題を出しながら調べさせて、
上がってきたものを突っ返しながら社員でできてしかも
お客満足が十分に得られる商品を社員とともに作る。

B:社員のレベルを確かめながら、社員でできるものを自分一人で作る。
なぜなら自己完結していなければ多くの人と作れば矛盾が起きるからです。










答え











答えはAです。商品を販売するのは社員ですから開発当初から
社員をかかわらせておいたほうが後々都合がいいのです。
また社員に課題を出しながら調べさせていけば社員のレベルで落ち着きますので、
社員ができない商品にはなりません。
ここでもし社長一人で社員の能力を想定しながら作ったら、
社員がわからないものになる可能性がありますので危険です。
あくまで社員中心でいきましょう。

今日からできる実践

課長業の実践

多くの社長は中間管理職を経験されていないので、
課長業ができません。それでは社員の実力を知り、
適切な指示を出すことができません。
そこで課長業を実践してみましょう。
課長業は実務のかなめです。
実務の責任者であり、部下の仕事の実際を報告させて、
どこがどの様にまずいかを判断できて、レベルや個人の癖に応じて、
適切な指示を出して一人前に育てられる人です。
実務を標準化できて、コツをつかんでおり、部下一人一人の特徴を知ったうえで、
一人一人のレベルに応じた課題を設定できてそれを共に追い求めるのです。
課長業を実践して社員を生かせる社長になりましょう。


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